ボーナスの所得税が高い!税率と増えた理由・年末調整で戻る可能性は?

みのりたです。

会社員にとっては、夏のボーナス(賞与)が終わると、次は冬のボーナス(賞与)が待ち遠しいものですが、せっかくまとまった金額が支給されても、結構手取りが減ってガックリ…なんてことありませんか?

実はボーナスは、毎月のお給料とは税金の計算方法が違っており、場合によっては「ボーナスだけ所得税が高い!」なんてこともあり得ます。

今回は、どうして賞与だけ税率が増えた(減った)のか、その理由と、払い過ぎた所得税は果たして年末調整で戻ってくるのか、戻らない場合はあるのか?など、ボーナスの所得税事情について解説します。

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ボーナス(賞与)の所得税の決まり方

息子氏
ボーナスは、会社から出たお金がそのまま全部もらえる訳じゃないんだよね?
みのりた
そうだよ。ボーナスからは、税金と社会保険料ががっつり引かれるんだよ。

ボーナス=賞与の手取り金額は、以下のような式で決まります。

ボーナスの手取り=額面-社会保険料-所得税

この式を見て「住民税は?」と思われた方がいたら鋭いです!そう、ボーナスからは住民税は特に引かれません。住民税はいわば「後払い」で、前年の年収全体から翌年1年分の金額があらかじめ決められ、月割りされているので、ボーナスの分も月々払う住民税額に含まれているからです。

しかし、所得税はいわば「先払い」です。その年の収入が決まる前から、収入があると同時に払っていかなければなりません。ボーナスの所得税ってどう決まるの?というと、実際にはこんな式で決まります。

ボーナスにかかる所得税額=(額面-社会保険料)×所得税率

額面全体に税金が課されるわけではなく、一応社会保険料を払った分は課税されないんですね。

ボーナスの所得税額を求めるために必要になりますから、次に社会保険料について触れておきます。

ボーナスにかかる社会保険料の計算方法

息子氏
えっ?ボーナスからも厚生年金って引かれるの?
みのりた
そうだよ、これがまた悲しくなるくらいゴッソリ持っていかれるのよ…

ボーナスにかかる社会保険料の内訳は以下の通りです。順番にその計算方法をご紹介していきます。

  • 厚生年金保険料
  • 健康保険料
  • 雇用保険料

厚生年金保険料

ボーナスから引かれる社会保険料で1番大きいのは、厚生年金保険料です。これがまた高いんですよね…トホホです。

ボーナスから引かれる厚生年金の保険料は、「標準賞与額」というものに基づいて計算されます。標準賞与額というのは、ボーナスの支給額(額面)から1000円未満の端数を切り捨てたもので、1回のボーナス(同じ月に2回以上支給された時は合算)につき、150万円が上限となります。

MEMO
額面が150万円を超える時は150万円と見なされます。

2018年9月現在、厚生年金保険料率は18.3%で固定されています。この18.3%を会社と従業員とで折半するので、実際にボーナスから引かれる厚生年金保険料は、以下の計算式で求めることができます。

ボーナスから引かれる厚生年金保険料=標準賞与額×9.15%

例えば、ボーナス支給額(額面)が423453円だった場合、標準賞与額は423000円となり、厚生年金保険料は38705円となります。

MEMO
1円未満は四捨五入になります

ボーナス(賞与)の厚生年金保険の決まり方について、詳しく確認したい場合はこちらからどうぞ↓↓↓
日本年金機構「厚生年金保険の保険料」

健康保険料

健康保険料はちょっとややこしいです。まず、厚生年金と同じく標準賞与額が基準となるのですが、その上限が1回の支給額(月額)ではなく、年間の合計額で573万円が上限とされています。

次に保険料率ですが、これがご自身が加入されている健康保険組合やお住まいの自治体によって変わってきます。本記事では、全国健康保険協会(協会けんぽ)の健康保険に加入されている前提で、以後の話を進めます。もし勤務先独自の健康保険組合に加入されているなら、保険料率はそちらで確認してください。

協会けんぽにおける平成30年度(2018年度)の都道府県別保険料を一覧表にまとめたものが、下表になります。例えば、みのりたが住んでいる愛知県を例にしますと、健康保険料率の一覧表は9.9%ですね。

平成30年度都道府県単位保険料率
都道府県 平成29年度 ↑:引上げ
↓:引下げ
→:据え置き
平成30年度
北海道 10.22% 10.25%
青森県 9.96% 9.96%
岩手県 9.82% 9.84%
宮城県 9.97% 10.05%
秋田県 10.16% 10.13%
山形県 9.99% 10.04%
福島県 9.85% 9.79%
茨城県 9.89% 9.90%
栃木県 9.94% 9.92%
群馬県 9.93% 9.91%
埼玉県 9.87% 9.85%
千葉県 9.89% 9.89%
東京都 9.91% 9.90%
神奈川県 9.93% 9.93%
新潟県 9.69% 9.63%
富山県 9.80% 9.81%
石川県 10.02% 10.04%
福井県 9.99% 9.98%
山梨県 10.04% 9.96%
長野県 9.76% 9.71%
岐阜県 9.95% 9.91%
静岡県 9.81% 9.77%
愛知県 9.92% 9.90%
三重県 9.92% 9.90%
滋賀県 9.92% 9.84%
京都府 9.99% 10.02%
大阪府 10.13% 10.17%
兵庫県 10.06% 10.10%
奈良県 10.00% 10.03%
和歌山県 10.06% 10.08%
鳥取県 9.99% 9.96%
島根県 10.10% 10.13%
岡山県 10.15% 10.15%
広島県 10.04% 10.00%
山口県 10.11% 10.18%
徳島県 10.18% 10.28%
香川県 10.24% 10.23%
愛媛県 10.11% 10.10%
高知県 10.18% 10.14%
福岡県 10.19% 10.23%
佐賀県 10.47% 10.61%
長崎県 10.22% 10.20%
熊本県 10.14% 10.13%
大分県 10.17% 10.26%
宮崎県 9.97% 9.97%
鹿児島県 10.13% 10.11%
沖縄県 9.95% 9.93%

引用:全国健康保険協会(協会けんぽ)「平成30年度都道府県単位保険料率」

表中の数字は、会社と従業員が折半して負担する保険料の合計額ですから、実際に私たち従業員が負担しなければならないのは、これら数字の半分の割合です。よって、ボーナスから引かれる健康保険料は下式で求められます(愛知県の場合)。

ボーナスから引かれる健康保険料=標準賞与額×4.95%

つまり先ほどの例(ボーナス支給額:423453円、標準賞与額:423000円)で言うと、健康保険料は20939円となります(1円未満の扱いは厚生年金と同じです)。

 

雇用保険料

最後が雇用保険料です。雇用保険には標準賞与額というのは関係なく、以下の式で決まります。

ボーナスにかかる雇用保険料=賞与支給額×0.9%

雇用保険料も、会社と従業員で分担して負担するのが普通ですが、その配分は厚生年金や健康保険と異なり、0.3%分が我々従業員、残りの0.6%分が会社となっています。従って、実際に引かれる金額は以下の式で求められます。

ボーナスから引かれる雇用保険料=ボーナス支給額×0.3%

先ほどの例(ボーナス支給額:423453円)で言うと、雇用保険料は1270円となります(1円未満の扱いは厚生年金と同じです)。

 

以上3つの社会保険料を合計すると、やっと所得税を計算するための基準額を求めることができます。例を元に計算すると、

423453-(38705+20939+1270)=423453-60914=362539円

所得税を引かれる前段階で、既に額面の14%以上が減ってしまいましたね(哀)

ボーナスの所得税計算方法

息子氏
ボーナスのしょとくぜいりつって何?
みのりた
ボーナスだけに特別に適用される、所得税の割合だよ。前の月のお給料額で決まるんだよ。

通常の計算方法

ボーナスから引かれる(源泉徴収される)所得税額は、賞与が支給される前月の給与をベースにして、記事冒頭部で示した下式で求めます。

ボーナスにかかる所得税額=(額面-社会保険料)×所得税率

「所得税率」というのは予め決められていて、国税庁が公開している「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」に載っています。配偶者や子供など、扶養している人数によって変わりますので、ご自身の家族構成と給与明細から、適用される税率を調べましょう。

ただし、ここで注意したいのは、ベースにする金額は前月の給与から社会保険料(厚生年金保険料、健康保険料、雇用保険料)差し引いた額である点です。具体的な数値は給与明細を確認するのが1番確実ですね。

引用:賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表(一部抜粋)

例として前月の給与額が38万円とすると、社会保険料額が大体5万円位でしょうから、ベースになるのは33万円です。上の表を見ると、賞与の所得税率は6.126%となりますね。

よって、先ほどのボーナス支給例423453円から引かれる所得税がいくらになるか計算してみますと、

{423453-(38705+20939+1270)}×6.126%=362539×6.126%=22209円

社会保険と合わせると、実に8万円以上が額面から引かれてしまうという結果になりました。な、何だか空しくなってきますね…

特殊な場合の計算方法

所得税率の一覧表で計算するには適さない場合として、以下のようなケースでは「月額表」を用いて計算します。

  • 前月の給与額(社会保険料控除後)の10倍を超える額のボーナスが出る場合
  • 前月に給与の支払いが無い場合(育休中など)

前月の給与額(社会保険料控除後)の10倍を超える額のボーナスが出る場合

  1. ボーナスから社会保険料等を差し引いた金額を求め、6で割ります(A)
  2. Aに(前月の給与額-社会保険料等)の金額を足します(B)
  3. Bを「月額表」にあてはめて所得税額を求めます
  4. 求めた所得税額-前月の給与に対する源泉徴収税額を求めます(C)
  5. Cに6を掛ければ、ボーナスから引かれる所得税額になります

前月に給与の支払がない場合

  1. ボーナスから社会保険料等を差し引いた金額を求め、6で割ります(A)
  2. Aの金額を「月額表」に当てはめて所得税額を求めます(B)
  3. Bに6を掛ければ、ボーナスから引かれる所得税額になります


注意
どちらのケースも、賞与の計算期間が6ヶ月を超える場合には、6で割ったり掛けたりしていた部分を12に置き換えて計算します。

所得税の求め方についてもっと詳しく知りたい方は、国税庁のHPをご参照ください。
国税庁「賞与に対する源泉徴収」

ボーナスで所得税が増えた/減った理由

息子氏
パパ、ボーナスのぜいきんが増えたから、ぼくのおもちゃ買えない!ってがっかりしてたよ?
みのりた
それは、前の月に沢山お仕事をしてお給料が高かったからだね。
息子氏
じゃあ前の月にお給料たくさんもらっちゃったら損なの?
みのりた
そうならないように、年末調整っていう仕組みがあるから、払い過ぎた分は1年の最後にはちゃんと返って来るよ!

昨年のボーナスと支給額は変わらないのに、手取りが減った(=税金が増えた)という方は、それまでのの給与明細を並べてみて下さい。ボーナス支給の前月に残業が多かったりして、給与が増えていませんでしたか?

ボーナスの所得税は、先程ご紹介した通り支給の前月の給与額で税率が決まります。もし仮に、残業時間がいつもなら20時間程度なのに、その月だけ倍の40時間だったとしたら、ボーナスの所得税は「この人は1年間、毎月40時間の残業をしているんだな」という前提で計算されてしまいます。

巷で「ボーナスの前の月はあまり残業しない方が得」と言われたりするのは、このためです。

逆に、いつもは40時間残業をしているのに、この噂を信じて、その月だけ20時間に減らしたとすれば、確かにボーナスの所得税率は下がりますから、払う税金は少なくて済みます。

ではそれでめでたしめでたしかと言うと、そうはいきません。記事の最初の方に書いた通り、所得税は「先払い」方式ですから、1年間を通しての収入合計額を推測して課税されています。つまり、ボーナス支給時点で取られる所得税は「とりあえずの仮決め金額」なのです。

年末調整で所得税が還元される場合と追加徴収される場合

息子氏
わーい!パパのぜいきん返ってきたら、もっとおもちゃ買ってもらおう!
みのりた
年末調整では、いつでも税金が返ってくる訳じゃないの。場合によっては逆にもっと税金を取られるから、注意しないとね!
息子氏
えーっ!?もっとぜいきん取られたら、パパのお給料なくなっちゃうよ!
みのりた
そ、そうね…

所得税の支払いは「先払い」方式で「とりあえずの仮決め金額」だとお伝えしました。では、先払いした税金が多過ぎたり少な過ぎたりする場合はどうなるのでしょうか?

会社員(サラリーマン)世帯において、1年間を通して、きちんと年収額に合わせた所得税を正確に徴収するための仕組みが「年末調整」と呼ばれるものです。社会人の方なら、12月の給与で何か手取り多いな!と思われたことがあるでしょう。あれは、「年末調整によって正確な所得税を計算したら、あなたは払い過ぎていた分があったので、お返ししますよ」と還付されたお金が含まれるからです。

つまり、先ほど残業時間20時間と40時間の話をしましたが、例えボーナス直前だけ給与の額を調整した所で、最終的には年間の収入全体を見られてしまうので、結局払う所得税の金額は一緒なのです。得も損もありません。

では、所得税が返ってくる(還付される)場合と、逆に追加で徴収されてしまう場合、それぞれの具体例にはどんなものがあるのか、ご紹介します。基本的には還付されるケースが多いと思いますが、転職で給与が大きく上がった人や離婚された人は注意が必要かもしれません。

注意
ボーナスに限らず、1年を通しての条件になります

所得税が還付されるケース

  • ボーナス月の前だけ収入が多く、税率を高めに見積もられていた場合
  • 年の途中で転職し、前職よりも給料が大きく下がった場合
  • 生命保険料を払っており、生命保険料控除が受けられる場合
  • 地震保険料を払っており、地震保険料控除が受けられる場合
  • 住宅ローン控除2年目以降(初年度に確定申告済みの場合)
  • 年の途中で結婚し、控除対象配偶者が適用できる配偶者(妻・夫)を扶養し始めた場合
  • 老親を扶養に入れるなど、給与計算時より扶養控除となる人が増えた場合
  • 寡婦控除(あるいは寡夫控除)の申請を年末調整時に行った場合
  • 障害者控除(あるいは特別障害者控除)の申請を年末調整時に行った

 

所得税が追加徴収されるケース

  • ボーナス月の前だけ収入が少なく、税率を低めに見積もられていた場合
  • 年の途中で転職し、前職よりも給料が大きく上がった場合
  • 扶養していた(控除対象配偶者が適用できる)配偶者(妻・夫)と離婚した場合
  • 子供が就職等で扶養を抜け、給与計算時より扶養控除となる人が減った場合

ボーナスの税率だけでそこまで所得税を追加徴収されることはないと思いますが、このような所得税の仕組みを知っておくと、妙な噂に惑わされず適切に節税することも可能ですので、これを機に、過去年末調整で戻った金額の意味など勉強してみると良いかもしれませんね!

まとめ

ボーナス(賞与)にかかる所得税の決まり方や計算方法、実際の税率など、「ボーナスの所得税が高い!」と感じた時に覚えておきたい内容をまとめました。

所得税の計算の前に社会保険料の計算が必要だったりして、ちょっと複雑ではありますが、額面に対して意外と手取りが減ってしまう事実はご理解いただけたのではないかと思います。

「今年はやけにボーナスの所得税が高いな」と感じる背景には、ボーナスの所得税がその前月の給与額をベースにして計算されるという仕組みが大きく関係しています。しかし、もし税率を高く見積もられて払い過ぎてしまった分は、年末調整で戻ってくるので、安心して下さい。

次のボーナスが果たしてどんな税率になるのか、本記事を参考に、1度計算してみてはいかがでしょうか?

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