みのりたです。
今年も年末が近づき、2019年のふるさと納税も大詰めを迎えそうです。
それはともかく、私は今とても困っています。なぜなら、今年は会社員のお給料だけでなくブログ収益があるため、確定申告をしなければならないからです。
それに伴い、ふるさと納税の限度額も今までより上がるはずですが、会社員の人向けのシミュレーターは数あれど、個人事業主向けのシミュレーターがほとんど無いことに気が付いてしまいました。
そこで今回は、ふるさと納税の限度額を計算する方法を自分で詳しく調べてみました。もちろん会社員の方も使って頂けますが、特に個人事業主の方で限度額を正確に知りたい!という方は参考になさってください。
会社員の方向けにはふるさと納税の限度額を知れるシミュレーターが充実していますので、こちらの記事を参照してみてください↓↓↓
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目次
ふるさと納税の限度額の計算式
ふるさと納税の控除額の定義
ふるさと納税の限度額を計算する前に、そもそも限度額って何で決まっているのかご存じでしょうか?
まず、ふるさと納税をした後に2000円を除いて戻って来る金額というのは、あなたご自身が払った所得税と住民税の一部です。会社員の方が対象となるワンストップ特例という制度を使えば、全て住民税から還ってきますが、確定申告をされる個人事業主の場合は所得税と住民税両方からそれぞれ還ってくることになります。
引用:総務省 ふるさと納税ポータルサイト ※画像クリックで拡大します
ふるさと納税の控除額計算式
限度額を計算する前に、まずは控除額そのものを計算する式を理解しておきましょう。控除額の計算式は以下の通りです。
①所得税からの控除額 + ②住民税からの控除額(基本分) + ③住民税からの控除額(特例分)
ここで① ~ ③を更に細かく見ていくと、下式のようになります。
- 所得税からの控除額 = (ふるさと納税額 – 2000円) × 所得税率
- 住民税からの控除額(基本分) = (ふるさと納税額 – 2000円) × 10%
- 住民税からの控除額(特例分) = (ふるさと納税額 – 2000円) × (100% – 10% – 所得税率)
例えば所得税率20%の個人事業主さんであれば、ふるさと納税額の2割が確定申告後に還付され、残りの8割が翌年の住民税から差し引かれることになります。
※ただし自己負担額2000円を除く
住民税から本当に引いてくれてるの?と気になる方は、こちらの記事を参考に住民税通知書をご確認ください↓↓↓
【ふるさと納税】住民税通知書の見方を解説!初心者でもわかる控除額の確認方法
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ふるさと納税の控除額(自己負担2000円に収まる上限額)
控除額そのものの計算式はわかった。じゃあ実際、自分はいくらまで自己負担2000円で済むのか?その限度額は、先ほどの① ~ ③式でそれぞれ個別に設定されています。
ふるさと納税限度額の計算式①所得税
所得税分については一応以下の制限がありますが、こちらで引っかかる方というのはあまりいないんじゃないかなと思います。
所得税からの控除限度額 = 総所得金額等 × 40%
所得税を計算するための所得は「課税所得の金額」がベースになりますので、意味合いが異なります。
ふるさと納税限度額の計算式②住民税(基本分)
次に住民税ですが、まず基本分の限度額は下式となります。
住民税からの控除限度額(基本分) = 総所得金額等 × 30%
ややこしいですが、所得税分と住民税分とでは限度額が少し異なります。ワンストップ特例を使って住民税のみからの控除を希望される方は、こちらと次の特例分の制限を考慮する必要がありますね。
ふるさと納税限度額の計算式③住民税(特例分)
ふるさと納税の限度額を決める最も重要なキーであり計算が複雑なのが、この特例分です。住民税所得割というものを計算しなければなりません。
住民税からの控除限度額(特例分) = 住民税所得割 × 20%
住民税所得割の計算方法については次の項で詳しくご紹介しますが、実際にはお住まいの市町村によって微妙に変わってきます。もし自分で計算する場合は、必ず事前に自治体HPなどで税率を確認する必要があります。
ふるさと納税の理念に始まり、この辺の基本的な部分については総務省が専用ポータルサイトで説明してくれていますので、そちらもご参照ください。
総務省 ふるさと納税ポータルサイト「よくわかる!ふるさと納税」へ
ふるさと納税の限度額を個人事業主で計算するには
さてそれでは、個人事業主がふるさと納税の限度額を真面目に計算する方法を解説してみたいと思います。
STEP1 所得金額の算出
何はともあれ、今年1年の所得を計算しないことには始まりません。個人事業主にとっての所得は、大まかに言うと下式で表されますね。
個人事業主の所得金額 = 事業収入(売上金額) - 経費
もちろん事業収入以外にも収入(不動産収入や配当収入など)がある場合は、それらを全て合計した金額を「収入」とします。
ちなみにみのりたのように副業ブロガーをやっている方の場合、給与所得と事業所得を合算することになりますので、副業前提でちょっとご紹介してみたいと思います。
給与所得の算出方法
給与所得に関しては、会社員にとっての経費=給与所得控除をお国が最初から「これくらいね」と勝手に決めてくれていますので、下式で所得を計算します。
給与所得金額 = 給与収入(額面収入)- 給与所得控除
最新の給与所得控除の金額は、年収によって以下の通りとなっています。
収入金額 | 給与所得控除の額 |
180万円以下 | 収入金額 × 40% ※65万円未満の場合は65万円 |
180万円超360万円以下 | 収入金額 × 30% + 18万円 |
360万円超660万円以下 | 収入金額 × 20% + 54万円 |
660万円超1000万円以下 | 収入金額 × 10% + 120万円 |
1000万円超 | 220万円(上限) |
例えば額面年収600万円の方であれば、給与所得控除は 収入金額×20%+540000円=174万円 ですから、給与所得は以下の金額となります。
600万円 - 174万円 = 426万円
副業ブロガーの場合
ここでは仮に、年収600万円のみのりたさんが200万円のブログ収入を得て経費に50万円かかったという前提にします。
個人事業主としての所得金額は、200万円-50万円=150万円 ですから、
総所得金額は 426万円+150万円=576万円ということになりますね。
STEP2 所得税率の算出
STEP1で求めたのは総所得金額で、これにそのまま課税されるわけではありません(そんなことされたらたまったもんじゃない!)。所得税率を求めるには、課税対象となる所得の金額=課税所得金額を求める必要があります。
課税所得金額=総所得金額 - 所得控除
ここでいう所得控除には、以下の各種控除が含まれます。対象となる全ての所得控除を総所得金額から差し引けば、課税の対象となる所得金額が求められます。
- 雑損控除
- 医療費控除 ★
- 社会保険料控除
- 小規模企業共済等掛金控除
- 生命保険料控除 ★
- 地震保険料控除 ★
- 寄附金控除
- 寡婦、寡夫控除 ★
- 勤労学生、障害者控除
- 配偶者(特別)控除 ★
- 扶養控除 ★
- 基礎控除
なお各控除の内★マークの付いたものについては、詳しい金額など年末調整記事でご紹介していますので、ご自身が適用される控除を確認してみて下さい。
参考記事:年末調整必要な書類や手続きは?保険料控除や住宅ローン控除など紹介!
年末調整必要な書類や手続きは?保険料控除や住宅ローン控除など紹介!
こうして求めた課税所得金額を下の所得税率一覧表に照らし合わせ、ご自身の所得税率を算出します。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円を超え 330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円を超え 695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円を超え 900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円を超え 1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円を超え4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
副業ブロガーの場合
先ほどのみのりたさんであれば、会社員として年末調整を実施した時点で一通り所得控除は差し引かれていることになります。
本年度の源泉徴収票が既に手元にあれば、その中の「所得控除の額の合計額」の金額がそのまま使えます。
今、みのりたさんの本業での源泉徴収票における「所得控除の額の合計額」記載が120万円だとすると、課税所得金額は以下の通りです。
課税所得金額=576万円-120万円=456万円
上記の所得税率表に照らし合わせると456万円は「330万円を超え 695万円以下」なので、所得税率は20%となります。
STEP3 住民税所得割の算出
次に住民税に関する課税所得金額も計算していきます。計算の流れは所得税と同じなんですが、住民税の計算をする時は生命保険料控除など微妙に控除額が変わったりするので、面倒ですが住民税計算用の控除額を総所得金額から差し引いてください。
ここで住民税の仕組みについて簡単に書きますと、住民税には市民税と県民税があり、それぞれ個別に税率が設定されています。私たちが毎年払っている住民税というのは、正確には市民税と県民税を合計した金額なんですね。
従って、住民税所得割にも市民税所得割と県民税所得割の2つがあり、それぞれ下式のように求めます。
- 市民税所得割額=課税総所得金額 × 市民税率
- 県民税所得割額=課税総所得金額 × 県民税率
この式を見てお分かりだと思いますが、お住まいの市町村によって市民税率は異なりますし、県民税だって都道府県によって異なります。ですから、ご自身の住民税所得割額を求めるには、お住まいの自治体の税率を調べる必要があります。
そしてふるさと納税の限度額を計算するのに必要な住民税所得割額は、これら2つの所得割の合計から求めることができます。
住民税所得割額 = 市民税所得割額 + 県民税所得割額
副業ブロガーの場合
みのりたさんの場合を再度考えてみます。
計算がややこしいので、ここでは住民税に関する課税所得金額も所得税と同額だったと仮定しますと、課税所得金額は456万円です。
みのりたさんが愛知県名古屋市在住だとすると、令和元年現在、愛知県の県民税率は2%、名古屋市の県民税率は7.7%ですから、
市民税所得割額 = 456万円 × 7.7% = 351,120円
県民税所得割額 = 456万円 × 2% = 91,200円
住民税所得割額 = 351,120円 + 91,200円 = 442,320円
STEP4 ふるさと納税の限度額を計算
ここまで来たら、ふるさと納税の限度額を正確に知れるまであと一歩です。
本記事の前半で、ふるさと納税の控除額計算式は以下の3つから構成されると説明しましたね。
- 所得税からの控除額 = (ふるさと納税額 – 2000円) × 所得税率
- 住民税からの控除額(基本分) = (ふるさと納税額 – 2000円) × 10%
- 住民税からの控除額(特例分) = (ふるさと納税額 – 2000円) × (100% – 10% – 所得税率)
例えば所得税率が20%であれば、所得税からの控除:20%、住民税からの控除(基本):10%、住民税からの控除(特例):残り70%となり、限度額を決めるメインも住民税からの控除(特例分)になります。
ではその特例分の上限はどう決められていたでしょうか?
住民税からの控除限度額(特例分) = 住民税所得割 × 20%
つまり、ふるさと納税額の70%に当たる金額が住民税所得割のジャスト20%になる金額が、この場合のふるさと納税限度額と言うことになります。式で表すと以下の通りです。
(ふるさと納税額 – 2000円) × 70% = 住民税所得割 × 20%
∴自己負担2000円で済むふるさと納税額の限度額 = 住民税所得割額 × 20% ÷ (100 – 10 – 所得税率)
どうでしょう、一筋縄では計算できないけれど、最終的な計算式自体はそう難しい形ではないと思います。
もちろん、上式の70%という数字は各自の所得税率によって変わってきますので、その点はご注意ください。
副業ブロガーの場合
みのりたさんが結局いくらまでふるさと納税できるのかを具体的に算出しましょう。
STEP3で求めた住民税所得割額が442,320円でしたから、限度額を求める式に当てはめてみると、
442,320円 × 20% ÷ 70% = 442,320円 × 0.2 ÷ 0.7 = 126,377円
となり、126,000円までは寄附金控除枠が使えそうだなということがわかりました。もし給与収入の600万円だけであれば、限度額はだいたい8万円程度ですから、副業とは言えそれなりに収入を得ると、ふるさと納税の限度額もかなり広がることがイメージできると思います。
もちろん、本当の正確な金額は実際に確定申告をしないとわかりません。本記事での計算はあくまで目安として考えて頂き、多少のずれは予め承知の上ご利用ください。
【参考】おすすめのふるさと納税限度額シミュレーション
個人事業主の方向けの限度額シミュレーションはほとんどないと書きましたが、一応用意してくれているふるさと納税サイトもあります。
それがさとふるで、「詳細シミュレーション」で個人事業主や副業のある方用の計算フォームを選ぶこともできます。計算ロジックは本記事でご紹介したものと同じですので、所得金額や所得控除額が分かっているという方はこちらを使ってサクッと計算するのもおすすめです。
また会社員の方であれば、より多くのふるさと納税サイトのシミュレーターで、かなり正確に限度額を調べることができます。
こちらの記事でまとめていますので、参考になさってください↓↓↓
【ふるさと納税】いくらまで寄付できるか目安を正確に知れるシミュレーションは?
【ふるさと納税】いくらまで寄付できるか目安を正確に知れるシミュレーションは?
住宅ローン控除と併用したい方はこちらの記事で個別に解説しています↓↓↓
【ふるさと納税】限度額はいくらまで?住宅ローン控除との併用シミュレーション!
【ふるさと納税】限度額はいくらまで?住宅ローン控除との併用シミュレーション!
まとめ
主に個人事業主の方向けに、ふるさと納税の限度額計算式を詳しく調べてみました。本当に詳しく知ろうと思うと、かなり面倒な計算になるんだということがお分かりいただけたと思います。
しかし個人事業主の方がふるさと納税の恩恵を最大限に受けようと思うならば、避けては通れない道です。
なお、ふるさと納税サイト「さとふる」では、数少ない個人事業主も使える限度額シミュレーターを提供してくれています。
今回ご紹介した計算を自分でやるのは無理!と思われる方は、1度さとふるのシミュレーターを使ってみても良いかも知れません。