【住宅ローン控除】中古マンションをリノベーションしてわかった上限2つ!

みのりたです。

住宅ローンを組んで住宅を購入された方は、住宅ローン控除(減税)について把握されていると思いますが、最大でいくらまで控除できて、ご自身はその内いくら控除されるのか、ご存知でしょうか?

何となく「ローン残高の1%、最大で40万円でしょ」と思われていませんか?

実は、住宅ローン控除の上限にはいくつか条件があり、特に中古住宅(マンション、戸建て)を購入した人にとっては、意外な落とし穴があったのです。

今回はみのりた家の体験を元に、住宅ローン控除の上限額について、解説してみたいと思います。特に中古物件を購入してリフォーム(リノベーション)をされた方は、思ったほど控除が受けられないという状況になる可能性がありますので、ご自身の条件をよく確認してください。

住宅ローン控除の概要

「住宅ローン控除」というのは俗称で、正式には「住宅借入金等特別控除」と言います。多額の住宅ローンを返済しながら生活するのは大変でしょうから、少しの間税金の負担を軽くしてあげますよ、というのが制度の主旨になります。

基本的にはその年支払った所得税から還付金が戻ってくるもので、所得税だけでは引ききれなかった分を一部住民税からも引けるようになっています。ですから、例え控除できる額がフルで40万円あったとしても、支払った税額が20万円しかなければ、20万円しか戻ってきません。余った枠を翌年以降に繰り越すことも不可能です。

せっかくのありがたい制度ですから、なるべくなら控除可能額を全て使い切りたいですよね。

ですがこの制度には、中古住宅購入者にとっては癖モノの言葉があるのです。それが「特定取得」です。国税庁HPによると、以下のように説明されています。

「特定取得」とは、住宅の取得等の対価の額又は費用の額に含まれる消費税額等(消費税額及び地方消費税額の合計額をいいます。)が、8%の税率により課されるべき消費税額等である場合におけるその住宅の取得等をいいます。

ざっくり言うと、消費税を支払う取引き=売主が業者である場合は特定取得に当たるよ。個人が売主の場合は特定取得に当てはまらないよ、という意味です。中古住宅の売買は基本的に個人間の取引が多いので、実質上、新築購入者と中古購入者の間に、控除上限額の壁が発生するのです。

注意
本制度の詳細については、国税庁のHPから確認することができます。控除が適用されるかどうかには細かい条件が設定されていますので、ご自身の住宅やローンが適用対象になるのか、事前に必ず確認してください。

国税庁HP
マイホームの取得や増改築などしたとき

また、住宅ローン控除をどういう流れで申請するのか、いつ頃還付金が戻るのか等については、こちらの記事で解説しています。

関連記事:住宅ローン控除の還付金はいつ戻る?初年度と2年目以降で会社員はこう違う
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控除できる上限額

住宅ローン控除は基本的に所得税から還元されますが、そこから引ききれなかった場合は一部住民税からも還元してもらうことができます。控除してもらえる上限金額は、その年の年末時点におけるローン残高の1%が基本であり、またどれだけ高い住宅ローンを組んでも、所得税からの控除額+住民税からの控除額の合計が40万円までとなります。

所得税

住宅ローン控除によって控除可能な所得税の上限額は、特定取得か否かによって大きく異なります。これが1つ目の「上限の壁」です。

  • 特定取得の場合:上限40万円
  • 特定取得以外の場合:上限20万円

何と、実質的に新築と中古とで倍違うんですよ、倍!差が大き過ぎやしませんか!?いや、中古住宅でも業者から購入すれば上限40万円ですが、一般的に考えて、個人間取引の方が多いんですから。

いいですか、中古住宅を購入しようとお考えの皆さん、この上限20万円はよく覚えておくことをおすすめします。

 

住民税

住民税の上限額もまた、特定取得か否かによって異なります。これが2つ目の「上限の壁」です。

  • 特定取得の場合:前年分の所得税の課税総所得金額等の7%136500円が限度)
  • 特定取得以外の場合:前年分の所得税の課税総所得金額等の5%97500円が限度)

 

どうでしょう、1つ目の壁に加え、新築か中古かで136500円-97500円=39000円も違ってくるんですよ。中古マンションを購入して空き家対策に貢献している(?)身としては、何とも釈然としない話です。

最も、時短を使ったりせずフルで働いてさえいれば、我が家の控除枠は所得税だけで全て使い切ってしまうので、住民税はあまり関係ないのですが…

なお住民税に関しては、総務省のHPから確認することができます。国税庁のHPより格段に理解しやすいです。

総務省HP
新築・購入等で住宅ローンを組む方・組んでいる方へ 個人住民税の住宅ローン控除がうけられる場合があります。

みのりた家の場合

みのりたは2015年に、当時築20年の中古マンションを購入し、同時にリノベーション(ほぼ全ての設備・部屋・間取りもリフォーム)をしました。

そして、中古マンションの物件費用で2500万円、リフォーム代金で500万円、合計3000万円の住宅ローンを組んだのです(各費用は計算の都合上、ぼやかしています)。

当時、住宅ローン控除のことをネットで色々調べながら、最初は「おっ、ローンの1%の金額が戻ってくるの?うちだと30万円位じゃん!ラッキー♪」なんて喜んでいました。

…が、結論から言うと、初年度実際に控除を受けられたのは、およそ25万円でした。

先ほどご紹介した控除の上限額に従って、この意味をご説明します。

住宅ローンの控除対象上限額

まず物件費用についてですが、中古マンションを、不動産業者の仲介を経て個人の売主さんから購入しましたので、これは「特定取得」に当たりません。

注意
仲介業者はあくまで仲介しているだけで、売主ではありません。ここは要注意です!

従って、物件にかかる費用の住宅ローン控除対象上限額は、元より2000万円です。
2500万円分のローンを組んだのに、控除額を計算すると、2000万円/100=20万円になってしまいました。

次にリフォーム費用も、住宅借入金等特別控除の適用を受けることができる要件に当てはまったので、控除の対象として申請できました。

少しややこしいですが、リフォームに関しては消費税を支払っている(相手が業者)ので、こちらは「特定取得」に当てはまり、上限は4000万円になります。

まぁ、リフォームだけでそんなにかかる人はまずいないと思いますので、この上限は実質的に意味を成しません。単純にリフォーム代は全額控除の対象になると思って良いでしょう。

みのりた家の場合、控除額は500万円/100=5万円となります。

以上2つの額を合計すると、25万円。この時点で、新築なら30万円まで受けられるはずの控除上限額が5万円減ってしまいました。

中古住宅+リフォーム(リノベーション)の組合せで住宅ローンを組む場合、「お得に控除を受ける」ことだけに注目するならば、なるべく安い価格(2000万円未満)で住宅を購入し、リフォーム(リノベーション)にお金を掛けた方が良い、という事になります。

ただし、安い物件=不便、古い、狭いなど、それなりに意味がありますから、あまり控除に気を取られて物件を選ぶ目が曇らないよう、ご注意ください。

住民税の控除上限額

ローンを組んだ初年度、みのりたは途中まで育休を取得しており、復職したのが年の後半からでした。よって、給与収入は通常の半分程度、支払った所得税と翌年の住民税(見込み)は以下の通りでした。

  • 所得税:10万円程度
  • 住民税:14万円程度

所得税で引ききれない分は住民税から差し引こう…と思ったところで、もう一つの上限の壁が現れます。「特定取得」に当たらない場合の住民税の規定です。我が家(中古物件)だと最大97500円までしか控除されません。

これでは所得税の10万円を足しても、10万円+97500円=197500円。20万円弱です。

あれ?いつの間にか30万円が20万円になってしまいました。これは勿体なさ過ぎます!

 

引ききれない控除枠を上手く使う方法

そこでみのりたがどうしたかと言いますと、他の収入をかき集めて控除額を増やしました。給与以外の収入でも、別個で所得税を支払った(支払う)収入があれば、それを合算できるのです。

例えば株取引などで利益が出た場合、譲渡益にも配当益にも20.315%の税金(所得税及び復興特別所得税:15.315%、住民税5%)がかかります(2018年現在)。

この利益に対する課税方法で「源泉徴収」を選んでいると、利益が確定した時点で勝手に税金が差っ引かれますから、その引かれた税金から還付してもらえばいいのです。

幸い、みのりたはその年、株の譲渡益+配当益で5、6万円は源泉徴収されていましたので、確定申告でそれを申告し、控除を約25万円(みのりた家のパターンではフルの控除額)受けることができました。

MEMO
特に女性が住宅ローンを組んで、途中で妊娠・出産があり、収入が減ってしまうような場合に、控除額を増やすことができます。(と言っても、元々自分が払った物を返してもらっているだけなのですが)

投資だけでなく、給与以外にも所得税を支払うような収入がある方は、是非検討してみて下さい。

また、ご自身が払っている税金の額が控除の上限に届かないという方の場合、例え1%未満の金利でローンを組んでいても、10年間の適用期間終了を待たず、早めに繰り上げ返済をしてしまった方がお得な場合もあります。

みのりたが以前エクセルで作成した、繰り上げ返済の効果と住宅ローン控除で受けられる還付金を同時に比較できるシミュレーションもあります。ご興味のある方はこちらからどうぞ。

関連記事:住宅ローン繰り上げ返済をエクセルで計算!VS減税で最大に得する方法
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まとめ

住宅ローン控除という、庶民にとって嬉しい制度に存在する、2つの上限の壁についてご紹介しました。1つ目は、事実上新築と中古の間に現れる特別取得の大きな壁、そして2つ目は、住民税から控除する際に再び現れる特別取得の小さな壁です。

新築物件を購入される方はあまり意識しないと思いますが、特にみのりた家のように、中古物件を買ってリノベーションをしたいという方にとっては、組んだローンの額の割に控除が受けられない…ということになりかねません。

いざ申請する段になって、こんなはずではなかったと後悔しないように、ご自身が購入される物件の住宅ローン控除適用条件や金額について、事前によく理解しておきましょう。

そして、せっかく制度を利用するからには、お得に、控除できる最大限の金額をガッツリ還付してもらっちゃいましょう!