みのりたです。
2018年の夏は猛烈な暑さですね。日々熱中症で死者が出たというニュースが出ています。みのりたの住む愛知県でも、小1の男の子が幼い命を落とすという痛ましい出来事がありました。
クーラーの効いた部屋の中にいても熱中症にかかる危険性があるということで、特に小さな子供や高齢者のいるご家庭では、今まで以上に厳重な注意が必要になりそうです。
そんな熱中症対策の一つとして有効とされているのが、経口補水液を摂取することです。脱水症状の治療に使える特殊な飲料ですが、実はこれ、飲んでみて味をどう感じるか(甘い、しょっぱい、おいしい、まずい)で、健康状態を知ることができるそうなんです。
今回は、そんな経口補水液の味の感じ方と脱水症状の有無の関係、そして経口補水液はいつ飲むのが正解かについて調べてみましたので、ご紹介します。
目次
経口補水液とは
経口補水液とは、簡単に言ってしまえば、塩分と糖分を溶かした水で、主に脱水症状を起こしている人の治療に用いられるものです。
よく、熱中症予防には水分と共に塩分も摂りましょうと言われますよね。なぜ糖分まで入っているの?と思われるかも知れませんが、これには身体に水分をきちんと吸収させるための大切な意味があります。
通常、水分は大腸から吸収されますが、脱水症状を起こしてしまうとこれが上手く機能せず、水分が吸収できなくなってしまいます。一方、様々な栄養素は一般的に小腸から吸収されますが、糖分(ブドウ糖)や塩分(ナトリウム)が吸収される際、一緒に水分も吸収される仕組みがあります(これを共輸送系と言います)。
よって、脱水症状を治療するためには、ただの水分ではなく塩分と糖分を溶かした水を摂取させることが有効だということで、経口補水液が開発されたのです。
なおこの経口補水液、厚生労働省も熱中症予防対策として、その摂取を勧めています。
【こまめに水分を補給してください】
室内でも、外出時でも、のどの渇きを感じなくても、こまめに水分・塩分、経口補水液などを補給しましょう。【暑さを避けてください】
できるだけ風通しのよい日陰など、涼しい場所で過ごしましょう。
引用:厚生労働省HP「熱中症予防のために」
経口補水液の味の感じ方
先ほど述べたように、経口補水液はあくまで「脱水症状の治療用の飲料」であるため、飲料としてのおいしさや嗜好性は高くありません。しかし、実は脱水症状になっているか否か(熱中症になりかけているかどうか)によって、味の感じ方が異なるのです。
健康な人(熱中症になっていない人)
健康な人、脱水症状になっていない人が経口補水液を飲んでも、正直おいしく感じません。「しょっぱい」「まずい」と感じるのが一般的です。
ちなみに健康な時に飲んだからと言って、熱中症になり難くなるとか、より健康になるという効果はありません。基本的には通常の水分やお茶、スポーツドリンクなどの摂取で十分です。
脱水症状(熱中症)になりかけの人
脱水症状になりかけの人が経口補水液を飲むと、思いのほかおいしく感じるのだそうです。「甘い」「スポーツドリンクみたい」と感じてしまったら、それは体が経口補水液を必要としている=脱水症状であることを意味しますので、無理せず以下のように対処し、安静にしましょう。
- 屋内ならエアコンの効いた涼しい部屋へ移動する
- 屋外なら少しでも風通しの良い日陰に移動する
- 衣服をゆるめる
- 保冷剤、氷、冷たいタオルなどで体を冷やす
ちなみに、熱中症対策については、厚生労働省がサイト内で以下のようにお堅い感じでまとめてくれています。気になる方はチェックしてみて下さい。
厚生労働省「熱中症関連情報」
経口補水液を飲むタイミング
味の感じ方が違うのは分かった。でも健康な時に飲む必要が無いなら、経口補水液っていつ飲んだらいいの?と、ちょっと迷ってしまいますよね。
少し意外かもしれませんが、経口補水液は脱水状態になってから飲むのが正しい摂取方法です。
え、熱中症予防に有効と書いておきながら、熱中症になってから飲むの!?と思いませんか?
ここで言う脱水症状は、症状が軽度~中等度であることがポイントです。脱水症状や熱中症になりかけの場合、幾つか身体からのサインが出るはずです。そのままだと危険なので、自覚症状を感じたら、倒れてしまう前に飲みましょうということです。
以下に脱水状態の進行状況とそれに伴う具体的な症状例をご紹介します。この表を見ると、水分損失率6%を超えた辺りから、恐らく自分では対処が難しくなるはずです。大量の汗や強い喉の渇き、めまいや脱力感といった症状が、脱水を疑う目安になるかなと思います。
水分損失率 | 症状例 |
1% | 大量の汗、喉の渇き |
2% | 強い乾き、めまい、吐き気、ぼんやりする、 重苦しい、食欲減退、血液濃縮、 尿量減少、血液濃度上昇 ※3%を超えると、汗が出なくなる |
4% | 全身脱力感、動きの鈍り、皮膚の紅潮化、 いらいらする、疲労および嗜眠、感情鈍麻、 吐き気、感情の不安定(精神不安定)、 無関心 |
6% | 手足のふるえ、ふらつき、熱性抑鬱症、 混迷、頭痛、熱性こんぱい、体温上昇、 脈拍・呼吸の上昇 |
8% | 幻覚・呼吸困難、めまい、チアノーゼ、 言語不明瞭、疲労困憊、精神錯乱 |
10~12% | 筋痙攣、ロンベルグ徴候(閉眼で平衡失調)、 失神、舌の膨張、譫妄および興奮状態、 不眠、循環不全、血液および血液減少、 腎機能不全 |
15~17% | 皮膚がしなびてくる、飲み込み困難(嚥下不能)、 目の前が暗くなる、目がくぼむ、排尿痛、 聴力損失、皮膚の感覚鈍化、舌がしびれる、 眼瞼硬直 |
18% | 皮膚のひび割れ、尿生成の停止 |
20% | 生命の危機、死亡 |
出典:水分損失率と現れる脱水諸症状の関係、日本体育協会、スポーツと栄養、108ページ、表7
経口補水液を準備するなら
もしも脱水症状や熱中症になってしまったら…そんな時のために、経口補水液を家に常備しておきたいと思われる方もいらっしゃるでしょう。
ネット通販などで多くの種類が売られている経口補水液ですが、どれを選んだら良いか迷いますよね。
1つの目安ですが、消費者庁が「特定の病気や症状に効くという医学的根拠が明確ですよ」というお墨付きを与えている「個別評価型病者用食品」という表示がありますので、本記事ではその表示を許可された商品のみをご紹介します。
2018年7月現在、経口補水液として表示が許可されているのは、以下2シリーズのみです。
大塚製薬「OS-1(オーエスワン)」
経口補水液と言えば、最も有名なのがオーエスワンでしょう。消費者庁から個別評価型病者用食品の表示許可を受けた商品です。
飲料タイプが飲みにくい、又は自力で飲み込むのが困難な場合などに適した、ゼリータイプもあります。軽くて持ち運びもしやすいので、外出先に持って行くのにおすすめです。
和光堂「アクアライト」
小さなお子さんがいらっしゃる方なら、一度はお世話になっているであろう和光堂も、幼児向けの経口補水液を販売しています。
小さな子供でも飲みやすいよう、りんごなどの味付きですので、子供の熱中症予防に買うならこちらがおすすめです。
まとめ
熱中症対策として有効な経口補水液について、どんな飲み物なのか、味の感じ方は脱水症状か否かでどう変わるのか、そしてどんなタイミングで飲むべきなのか、について解説しました。
経口補水液は健康な状態で日頃の水分代わりに飲むような物ではありませんので、普段はスポーツドリンクやお茶といった飲料を、こまめに摂取するだけで問題ありません。
しかし、今回ご紹介したような脱水症状の症状例(大量の汗や目まいなど)を感じたり「あれ、何か体調おかしいな?」と思われた場合は、その症状緩和や治療に大きな効果を発揮しますので、いざという時のために、防災グッズなどと一緒に常備しておくと良さそうですね。
まだまだ暑い日が続きそうですので、熱中症対策はしっかりとしておきましょう!