【仕組預金】ステップアップ定期預金・エクステ預金とは?デメリットを詳しく解説!

みのりたです。

もうボーナスが出たという方も多いでしょうか?せっかくだし、どこかにまとめて預けて少しでも資産を増やしたいなと思われますよね。

みのりたもその1人なんですが、近頃ネット銀行のボーナスキャンペーンを見ていると、通常の定期預金ではない、かと言って投資信託等の勧誘でもない、謎の「定期預金」キャンペーンが打ち出されています。

実はこれらの商品は「仕組預金」というちょっと複雑な仕組みを持った金融商品なんです。

仕組預金の概要については、こちらの記事前半でご紹介していますので、よろしければ。

【仕組預金】スイッチ円定期預金とは?どんなリスクがあるのか詳しく解説!
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今回は、みのりたが取引をしているじぶん銀行や楽天銀行が扱う、ステップアップ定期預金、エクステ預金といった「満期日変更特約付定期預金」という種類の仕組預金について、概要と主にデメリットを詳しく解説したいと思います。

これらの商品にちょっと興味があった、でも本当にお得なのか不安…そんな方は是非参考にしてみて下さい。

満期日変更特約付定期預金とは

通常の定期預金ですと、1年もの、3年ものといった具合に、満期が予め定められており、銀行がいきなり満期を繰り上げたり延長したりすることはありませんよね。

一方でこの満期日変更特約付定期預金というのは、その満期を変更する権利を銀行に与えるという特約の付いた定期預金なのです。

定期預金は、決められた期間下ろせないという制約を設ける代わりに、普通預金より高い金利を実現した金融商品ですが、例えば5年もので預けた場合、もし満期前にものすごい不況が来たらどうでしょう?恐らく銀行の運用成績は振るわず、最初に定めた金利分を稼ぐのが難しいかも知れませんね。

しかしこの満期日変更特約が付けられると、銀行が満期を変更することができます。この先の見通しがあまり良くないから、満期を繰り上げちゃおう!とか、金利がどんどん上がってるから、この低い金利のままがいいな…もう1年延長しよう!ですとか、といった具合に、銀行サイドがより利益を上げるために(もしくは損をしないために)、非常に都合の良い運用ができると思われます。

一方で利用者(預ける側)からすると、銀行の都合に振り回される訳ですから、そのままではちっとも嬉しくありません。そこで利用者の便宜を図るために、通常の定期預金よりも高い金利を設定することで、「これだけ金利つけるから許して!」と売り出している商品なんですね。

なお、「変更」には「繰上げ」も「延期」も含まれており、実際、金融機関と商品によってどちらに変更するのかは異なります。商品説明書には必ずどちらの変更になるのか記載されていますので、ご自分が興味を持たれた定期預金がこの手の商品だった場合、どちらになるのかチェックしてみて下さい。

取扱いのある代表的な金融機関と商品名

満期日変更特約付定期預金は、様々な金融機関で取り扱いがありますが、みのりたが調べた代表的な商品は以下の通りです。

銀行によって、繰上げ型と延長型は本当にバラバラですね。

今回は、繰上げ型の代表としてじぶん銀行の「ステップアップ定期預金」、延長型の代表として楽天銀行の「エクステ預金」をそれぞれ取り上げますが、他の商品も仕組みは同じですので、ここで内容を理解しておけば問題ないと思います。

 

ステップアップ定期預金・エクステ預金の商品概要

それでは具体的な商品の解説に入っていきましょう。とりあえず一通り、両方の商品概要を下記に並べてみました。金利や満期の変更方法(繰上げ or 延長)は違いますが、預入期間や預入単位などは同じですね。

※金利は記事執筆当時のもの(税引き前)です

ステップアップ定期預金(繰上げ型)

じぶん銀行のステップアップ定期預金は期間繰上げ型の満期日変更特約付定期預金です。つまり、本来は10年もの定期預金なのに、場合によってはもっと短くなるなるよ、ということです。この「場合によっては」の内部事情は銀行サイドにしかわかりません。

イメージ的には公式HPの下図が分かりやすいと思います。

引用:じぶん銀行「ステップアップ定期預金」より

MEMO
じぶん銀行のステップアップ定期預金はアップするステップが1段しかありませんが、他行ではこれが2段、3段と増えたタイプの商品もあります。

金利は前半(最初の5年間)が0.1%、後半(残り5年間)が0.23%となっており、後半の方が高金利となっています。しかし繰上げが発表されたら、前半の金利にしかならないので、あまりお得とは言えませんね。

しかも、もし逆に5年後以降、巷の金利が0.23%以上になっていても、10年が経過するまでは解約ができませんから(元本割れが発生する)、低い金利で我慢し続ける羽目になります。

なお、利息の支払い日=利払い日は、前半の5年が経過した時点(中間利払日)と本来の満期である10年後(満期日)の2回のみです。繰り上げが実施された場合は、もちろん中間利払日のみの支払いとなります。

エクステ預金(延長型)

2018年7月現在、エクステ預金には更に2種類のラインナップがあります。

1. エクステ預金(フラット)

フラットの名の通り、何年預けることになっても金利はずっと変わりません。ただ、最初に決めた預入期間が10年か15年かで金利が異なります。より長期間である15年ものの方が、金利が高くなっています。

引用:楽天銀行「エクステ預金(フラット)」より

こちらは期間延長型なので、毎年次に延長するかを銀行側が発表する形です。楽天銀行の場合、預金者が預けた月を起点に、翌年の預け月の1ヵ月前に、満期延長判定日というのがあります。そこで延長が発表されればそのままお金は預けられたまま、延長なしとされればお金は普通預金に戻されることになります。

ちなみにエクステ預金のような期間延長型は、利息の支払いが「延長するかどうか決めるサイクル毎」になります。楽天銀行の場合は1年毎に判断されるので、利息も1年毎に受け取れます。

その中でもフラットタイプは、最初の1年目から割と高めの金利を受け取れるのが特徴で、15年ものの金利0.302%という数字は、このご時世でではなかなか好金利に見えますね。

ただし、先のステップアップ定期預金同様、巷の金利が今より上がった場合、お得度は一気に下がることになります。

個人的には、期間繰上げ型よりもこの期間延長型の方が、先が読めないという点で、預け難いような気がしています。逆に、だからこそ銀行側としてはより高金利を謳う傾向があるのかも知れません。

 

2. エクステ預金(ステップアップ)

エクステ預金(ステップアップ)は、その名の通り、年々金利がアップしていくタイプの商品です。具体的な金利は下表の通りです。

エクステ預金(ステップアップ)金利一覧
当初1年間 延長預入期間(2年後以降、最長10年まで) 延長預入期間(2年後以降、最長10年まで) 期間 金利 当初1年間 延長預入期間(2年後以降、最長10年まで) 期間 金利 当初1年間
2年目 3年目 4年目 5年目 6年目 7年目 8年目 9年目 10年目
年0.010% 年0.012% 年0.014% 年0.016% 年0.018% 年0.021% 年0.024% 年0.027% 年0.040% 0.105%

期間延長に関する流れや利息の支払い方法については、フラットタイプと変わりません。

フラットと比べると、当初の金利も満期時点での金利もちょっと見劣りしてしまいますね。裏を返せば、銀行側としては金利負担が小さいので、期間が延長される確率はこちらの方が高いのかも知れません。

どちらにしても、敢えてこのタイプの預金を選択する価値があるようには見えないのですが…次項では、これら満期日特約付定期預金のデメリットについてまとめてみます。

満期日変更特約付定期預金のデメリット

以上調べてみたステップアップ定期預金やエクステ預金の特徴を踏まえると、満期日変更特約付定期預金には、以下3点のデメリットがあると言えます。結論から申しますと、縛られる期間が長い割にちっとも増えない、つまり危険性は低いけど全然うれしくもない!ということです。

1. 中途解約で元本割れする

10年や15年といった長期間資金を預け入れますので、事情によりその間に急遽お金が入り用になることもあるでしょう。しかし、途中で解約しようとすると元本割れしてしまう点が、通常の定期預金と異なりデメリットになります。

10年以上って、大分長いですよね…貯蓄性の保険のように「保険」としての機能がある訳でもなし、定期預金のように中途解約時に元本保証されている訳でもなしでは、そんなに魅力ありますかね?

 

2. 資金の流動性が著しく低い

もう1つのデメリット、みのりたはこれが大きいと思っていますが、資産運用する際には、自分のお金をよりお得な場所に預ける(入れる)事が大切です。しかしいつ何時お得な場所が現れるか分からないので、なるべくお金はいつでも動かせるようにしておいた方が良いのです。

これを資金の流動性が高い状態と言いますが、逆に、いざ資産を使いたい・動かしたいと思った時に動かせないことを、「資産の流動性が低い」と言います。通常の定期預金でも、低金利の今、預けるならせいぜい1年にしておいた方が良いと言われますが、この流動性を鑑みてのことです。来年には金利が上がって、もっと良い条件で預けられるかも知れませんからね。

しかしステップアップ定期預金や最短でも5年以上、エクステ預金(フラット)に至っては最長で15年間も、資金が縛られてしまいます。10年後の金利はそれなりに高く設定してくれていたとしても、この資金の流動性の低さはかなり大きいデメリットと言えます。

 

3. 言うほど金利が高くない

先ほどご説明しましたが、ステップアップ定期預金やエクステ預金のような満期日変更特約付定期預金は、銀行に満期を指定できる権利をあげる代わりに金利を高くした商品だとご説明しました。しましたが…金利高いですか、これ?

例えばじぶん銀行だったら、この夏のキャンペーンで1年もの定期預金が金利0.2%となっています(2018年7月31日まで)。

ステップアップと言いつつ、仮に繰上げが無かったとしても0.23%ですから、1年間夏のキャンペーンで預けながら様子を見た方が、よっぽど賢い選択のように思えます。

もしこの満期日特約付定期預金を選択すると、先ほど触れたように5年や15年といった長期で資金が縛られてしまいますので、わざわざ低い金利で長時間お金を寝かせることになるというのが、3つ目のデメリットだと思います。

 

以上が満期日変更特約付定期預金の主なデメリットになります。どうでしょうか?

もう少し金利を高く設定してくれたら、選択肢の1つとして検討してみても良いなぁと思うのですが、いかんせんうれしさが無さ過ぎます。この手の仕組預金も、みのりたは「選ばない」という結論に達しました。

まとめ

仕組預金の種類の一つ「満期日変更特約付定期預金」の概要と、その仕組みについて、じぶん銀行のステップアップ定期預金と楽天銀行のエクステ預金を例に解説しました。

仕組預金ではありますが、満期まで預けさえすれば元本保証となるため、スイッチ円定期預金のような二重通貨定期預金に比べれば、リスクは小さいと言えるでしょう。

ただ、1度預けてしまうとかなり長い期間資金を縛られてしまうため、本当の余裕資金でないと預けられない点、縛られる期間の割に金利は低い点、そしてもし期間内に金利が上昇して来た時に、よりお得な条件で資産運用できるチャンスを逃してしまう点が、主なデメリットであると考えられました。

10年間資金を寝かせるなら、リターン(うま味)の大きさやいつでも解約できるメリットのある積立投資の方が、よっぽど良いなと思うので、みのりたはこの「満期日変更特約付定期預金」にも手を出すつもりはありません。

もしご興味のある方で、単純に普通の定期預金より少しお得だ!とだけお考えの方がいらっしゃいましたら、今回ご紹介したデメリットについて、今一度よく考えてみて下さい。