寡婦・寡夫控除でいくら戻る?所得税・住民税の金額と計算方法を解説!

みのりたです。

年末調整や確定申告で寡婦控除(寡夫控除)を受けようと思う方、一体具体的にいくら戻って来るのか気になりませんか?

それに、寡婦控除って所得税しか戻らないの?住民税も減額されるって聞いたけど…と疑問に思う方もいるでしょう。

今回はそんな寡婦・寡夫控除のHow much?な疑問にお答えしたいと思います!

寡婦控除(寡夫控除)とは・おさらい

寡婦控除も寡夫控除も、どちらも読み方は「かふこうじょ」といいます。夫または妻と死別したり離婚されたりした方で、主にお子さんをお独りで育てている方を対象に、収入から一定額を控除して所得を見かけ上低くし、所得金額に比例してかかる所得税や住民税の負担を少し軽くしましょうという制度です。

夫のいない女性を寡婦、妻のいない男性を寡夫とそれぞれ呼ぶんですね。

寡婦控除・寡夫控除の要件について詳しく知りたい方はこちらの記事も参考になさって下さい↓↓↓
寡婦・寡夫控除の申請忘れ、いつまでさかのぼって手続き可能?要件も詳しく解説!
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寡婦・寡夫控除の金額(控除額)

具体的に寡婦(寡夫)控除を受けることで収入からいくら引いてくれるんでしょうか?一覧表にまとめてみました。

控除の種類 控除額
所得税 住民税
寡婦控除 一般の寡婦 27万円 26万円
特別の寡婦 35万円 30万円
寡夫控除 27万円 26万円

※特別の寡婦とは、寡婦の中でも以下の3つの条件を全て満たす人が対象となります。また寡夫の場合、全ての方が以下3つの条件+子供の所得金額が38万円以下(令和2年以降は48年以下)という条件を満たさなければなりません。

  1. 夫と死別または離婚した後婚姻をしていない人や夫の生死が明らかでない人
  2. 扶養親族である子がいる人
  3. 合計所得金額が500万円以下であること

参考:国税庁HP「No.1170 寡婦控除」、「No.1172 寡夫控除

上の表を見ると、所得税と住民税で控除額が微妙に異なることがわかりますね。

注意
上表の控除額は、所得の合計金額から控除される金額を表しており、書かれている金額が毎年年末調整や確定申告でそのまま戻って来るわけではありません!

具体的に手元に戻るお金については、次の項のシミュレーションをご確認下さい。

寡婦・寡夫控除でいくら戻るか計算シミュレーション

所得から控除される金額はわかった。でも、実際に自分の手元にいくら戻ってくるのか知りたいんだ!という方のために、戻ってくる金額をシミュレーションで計算してみましょう。所得税と住民税とでそれぞれ計算の考え方が異なりますので、個別に解説します。

なおわかり易いように、今回は架空の人物Sさんを例として計算してみることにします。

Sさん

・年齢:43歳
・職業:会社員
・年収:500万円(収入は給与のみ)
・扶養している子供:中学生1人、高校生1人
・居住地:愛知県
・住まい:持ち家

所得税の計算

所得税の計算方法についての考え方は、国税庁の公式サイトにある図がわかり易いので、本記事でも流用させて頂きます。

STEP1 収入(年収)から社会保険料を差し引き、所得金額を求める

上の図で言うⒶに当たりますが、課税される対象外のお金は最初から差し引きます。会社員であれば、基本的には社会保険料の合計ですね。

社会保険料に含まれるもの

  • 国民年金保険料
  • 厚生年金保険料
  • 健康保険料
  • 介護保険料
  • 雇用保険料

今回の事例のSさんであれば、居住地の愛知県の健康保険料を確認すると、社会保険料は以下の通りです。

  • 健康保険料+介護保険料:23,842円 × 12ヶ月=286,092円
  • 厚生年金保険料:37,515円 × 12ヶ月=450,180円
  • 雇用保険料:410,000円 × 3/1,000 × 12ヶ月=14,760円
  • 合計金額:286,092 + 450,180 + 14,760=751,032円

※1 2019年9月現在の料率です
※2 標準報酬月額は27等級と仮定します(厚生年金に関しては24等級)
※3 ボーナスは本来独自の計算表に則って算出しますが、ここでは簡易化のためにボーナスなしの年収÷12が月収だと仮定します

よって、年収500万円から求めた社会保険料の合計を差し引くと、ひとまず所得金額が求められます。
5,000,000-751,032=4,248,968円

なお、もしご自身の保険料を計算したい場合は、健康保険・介護保険・厚生年金保険については協会けんぽ(全国健康保険協会)のサイトでお住まいの都道府県の料金を概ね確認することができますし、雇用保険については厚生労働省が毎年料率を発表していますので、参考になさって下さい。

STEP2 適用される所得控除を差し引いて、課税所得金額を求める

所得税を求める全ての基準は課税所得金額と呼ばれるものになります。課税所得金額は、STEP1で求めた所得からご自身が適用される所得控除を全て差し引いた後の金額になります。

Sさんの場合、適用される所得控除は以下の通りです。高校生の子が1人いるので扶養控除が1人分受けられますし、生命保険や地震保険は適当に仮定しました。

Sさんが適用される所得控除

  • 基礎控除(38万円)
  • 寡夫控除(27万円)
  • 扶養控除(38万円)
  • 生命保険料控除(5万円)
  • 地震保険料控除(0.5万円)

よって、控除の合計金額は、38万円 + 27万円 + 38万円 + 5万円 + 0.5万円=108.5万円となり、

先ほど求めた所得金額から控除合計金額を差し引くと、所得税の計算のベースとなる課税所得金額が求められます。
4,248,968-1,085,000=3,163,968円

STEP3 課税所得金額から所得税率を求める

ここまで計算して、ようやくSさんの所得税率を求めることができます。本当に税金の計算はややこしい。。。

所得税率は2019年9月現在、課税所得金額に応じて下表のように定められています。本記事においては、3列目の「控除額」は無視して下さい。

所得税率
課税される所得金額 税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円を超え 330万円以下 10% 97,500円
330万円を超え 695万円以下 20% 427,500円
695万円を超え 900万円以下 23% 636,000円
900万円を超え 1,800万円以下 33% 1,536,000円
1,800万円を超え4,000万円以下 40% 2,796,000円
4,000万円超 45% 4,796,000円

Sさんの場合、課税所得金額が3,163,968円すなわち330万円以下となり、税率は10%です。

 

STEP4 所得税率から戻ってくる金額を逆算する

税率が分かったら、最後にそれぞれの控除によっていくら手元に戻ってくるかが計算できます。

Sさんの場合所得税率は10%でしたから、本記事のメインである寡夫控除によって戻ってくる金額は以下の通りです。

27万円 × 10%=27,000円

どうでしょう、年間27000円の税金が年末調整や確定申告によって戻ってくる(還付される)ことがわかりました。

これを大したことない額と捉えるか貴重な収入源(?)と捉えるかはあなた次第ですが、もし10年間この控除を受け続けたら27万円にもなりますから、近場なら海外旅行にだって行けちゃいますよね。

住民税の計算

次に住民税の計算についてですが、こちらは所得税よりだいぶ計算が複雑です。正確に計算していたら、恐らくいくら得したのか結局よく分からない!と思う方が大半と思われますので、本記事では簡易的に計算する方法をご紹介します。

それは、控除金額×10%とすることです。

もちろん自治体によって住民税率は異なりますし、あくまで目安と考えて頂きたいのですが、本記事ではこの割合を使って減らしてもらえる税額を計算します。

Sさんの場合、寡夫控除によって所得から控除される金額は26万円ですので、翌年の住民税から引いてもらえる金額は以下の通りです。

26万円 × 10%=2.6万円(26,000円)

注意
住民税は所得税と異なり、年末調整や確定申告によって還付金が振り込まれる訳ではありません。翌年の住民税が決定する際に、寡婦・寡夫控除のような所得控除分を考慮して低くなっている、という仕組みです。

よって、住民税が減税されているかどうかは翌年の6月頃に送られてくる住民税額決定通知書を見て初めてわかるようになっています。

 

最終的に還付される金額の合計

所得税の還付金額と住民税の減税額がわかった所で、寡婦・寡夫控除によって最終的にいくら得できるのか、おさらいしてみましょう。

年収500万円のSさんの例では、以下のようになりました。

  • 所得税からの還付金額:27,000円
  • 住民税からの減税額:26,000円
  • 合計で得する金額:27,000+26,000=53,000円

どうですか、寡婦・寡夫控除1つで年間5万円以上も税金が節税できる計算になります。先ほども少し書きましたが、10年間続ければ53万円ですから、この控除の影響は非常に大きいですよね。

最近は老後資金が不足するだの投資しなければだの、人の不安を煽るような言葉が独り歩きしていますが、税金に関する手続きをキチンとするだけで、これだけのお金を自動的に手にすることができるのです。よくわからない金融商品に手を出す前に、是非1度ご自身が使える控除がないか、改めて確認してみて下さい。

まとめ

寡婦・寡夫控除でどの位控除してもらえて、結局いくら手元に戻って来るのか?その計算方法について解説しました。

所得税・住民税の控除額を一覧表にまとめると以下のようになります。

所得税を計算する際には一般の寡婦や寡夫であれば27万円、特別の寡婦であれば35万円を、住民税を計算する際には一般の寡婦や寡夫であれば26万円、特別の寡婦であれば30万円を、それぞれ差し引くことができます。

ただし控除額=自分の手元に戻って来る金額ではありませんし、計算シミュレーションでも示した通り、戻って来るのは概ね、控除額の1割程度となりますので、注意が必要です。

とは言え、きちんと申請をすれば毎年数万円は税金負担を軽くできますから、対象となるシングルマザー・ファザーの皆さんは、是非忘れずに寡婦・寡夫控除を受けて下さい。

もしも申請を忘れてしまったら・・・そんな時の対処法はこちらの記事でご紹介しています↓↓↓
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